あの日あの時へ (その1:駅舎の記憶)
「あの日、あの時へ」と題した写真展が、9月28日からスタートしています。今回、展示をお願いしたのは小野孝志さん。小野さんと山形鉄道とのかかわりについては、「駅に集う人々 西大塚駅編」で紹介したところです。今年度最後の展示を小野さんにお願いしたのは、鉄道や駅舎への郷愁の原点を考えてみたいと思ったからです。
小野さんの作品の中から幾つかを紹介していきます。最初は懐かしい駅舎の写真2枚。右は奥羽本線神町駅、左は陸羽西線清川駅です。神町駅は1901年(明治34年)に開業し、1947年(昭和22年)に連合軍鉄道運輸司令部事務所として改築されます。そして2018年(平成30年)2月に、平屋建てに改築されることになりました。清川駅は1914年(大正3年)開業し、2000年(平成12年)に現駅舎が竣工。2022年より列車運行休止により、休止駅となっているそうです。
写真家 宮嶋康彦さんが2012年(平成24年)に実施してくれた撮影ツアーの際に、「都会の人は“普通”に心が癒されるもの。“普通の暮らし”に価値があることを理解して欲しい。」。「旅人は長い歴史を感じたい。時間が作り上げた歴史と失われたものを感じたいものである。」と語ってくれました。
宮嶋さんの記事はこちらから
→ (43)何を残したいのか 写真撮りツアーで学んだこと:おらだの会 (samidare.jp)
写真の両駅は、歴史の果てに姿を変えてしまった。けれども積み重ねられた歴史と共に、人々の暮らしの記憶がこれからも刻まれ続けていって欲しいと思う。そこに鉄道や駅舎への郷愁の源泉の一つがあるような気がします。