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長井線リポート(22) 屈曲清流奇絶處

 西大塚駅を過ぎると松川橋梁にさしかかる。荒砥の最上川橋梁と並ぶ撮影スポットである。右脳と左脳をフル回転させて、車窓からの眺めと芸術作品のような写真を重ね合わせてみて欲しい。バーチャルリアリティのように、写真家が切り取った四季折々の絶景を同時に味わうことができるのではないだろうか。

 

 さて明治9年6月、内務卿大久保利通が、明治天皇の東北御巡幸に先駆けて民情視察のために米沢に来られた。この時成田の佐々木宇右衛門は、自分で建てた製糸工場の視察を懇請し、大久保公はその願いを受け入れて佐々木家に宿した。12日、舟を仕立てて最上川を下った際に、大久保が詠んだ漢詩が次のものである。大久保利通も現実とバーチャルの間に遊んだのかもしれない。

 

 千章夏木雨痕鮮/幾重の山々木々青く、雨の後に鮮やかなり

 一棹孤舟下大川/一棹の小舟、大河を下る

 屈曲清流奇絶處/清流曲がりて絶景の中を過ぎる

 米家水墨是天然/この景色は米家の水墨画にあらず本物の自然なり

 

 

 

【おらだの会】 写真は歌丸の人提供 「同じ朝はない」

 ・漢詩の読み下し分は、致芳コミュニティセンター「渡し物語」を参考にしました。

 ・佐々木宇右衛門についてはこちらをご覧ください

  ⇒ http://samidare.jp/orada3/note?p=list&c=421753

2021.04.06
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