物語のある風景 〜 ふるさとにたつ
長井高校写真部展も今日(6日)を含めて3日間となりました。生徒さんのコメントやコピーを記載した図録を片手に作品を鑑賞すると、一層楽しくご覧いただけます。今年のテーマ「ふるさとにたつ。」について、顧問の先生が書かれたメッセージを紹介します。
生徒たちにとって、それぞれが物語を紡いだその場所が、「自分にとってのふるさとなのだ」という認識は、今はまだ、全くないのだと思います。駅のホームも、近づく列車も、車窓からの風景も、そこにあることが当たり前のものであり、この場所は決して特別な場所などではないはずです。当たり前の、特別でもない場所で、カメラを片手に友人たちと過ごす日々の重みを感じている生徒は、おそらくひとりもいないでしょう。
しかし、高校を卒業し、やがては多くの人がこのふるさとを発ちますが、おそらくその時に初めて「あの場所が自分にとってのふるさとであったのだ」と、気がつくことになるのではないでしょうか。そうして、今はふるさとだと認識せずに立っているこの場所に、やがてはふるさとだと認識して立つ日が来るのかもしれません。やがて立つふるさとで、生徒たちは何を思うことになるのでしょうか。生徒たちの眼には、変わらないふるさとが広がっているのか、変わりゆくふるさとが広がっているのか。今、生徒たちが紡いだ物語が、いつか懐かしい日々の記憶を呼び起こしてくれる手がかりになればと思います。
【おらだの会】写真部の生徒たちも、自分たちの子どもや孫も、その多くは故郷を旅立っていくだろう。せめて、「ここが自分のふるさとだ」と思い返せるような故郷を残して行きたいものです。